トキが舞う大きな空、風に揺れる稲穂の向こうに見える青い海、季節ごとに表情を変える美しい棚田――これらはすべて佐渡でしか出会えない特別な景色。
そんな、この島にしかない特別な自然環境のなかで栽培されているのが佐渡産コシヒカリ『朱鷺と暮らす郷』です。
佐渡は2011年に日本で初となるGIAHS(世界農業遺産)に認定されました。これは全世界の中で、長きにわたり独自性のある農林水産業を営んでいる地域を国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する制度のことです。
これは佐渡に住む人たちが気持ちをひとつにしてトキとの共生を目指し、島に住む生きものと美しい景観や文化を守ってきたことと、それにふさわしい農法で米作りをしてきたことが評価されたからです。
佐渡産コシヒカリ『朱鷺と暮らす郷』は、その名前の通り、トキの餌場づくりのために農薬や化学肥料を50%以上削減。佐渡市独自の「生きものを育む農法」に基づいて島内で栽培されているお米です。
言ってみれば、人もトキも田んぼに住むカエルもミミズも、みんなが安心して暮らせるようにそれぞれの住む場所に気をつかいながら、お米を育てようということなのです。例えば、お米を作っていない田んぼにも1年を通して水を張ったり、除草剤を使わずに田んぼの畔の草刈りをしたり。手間はかかるけれど、トキの餌となる生き物の生息環境を作り出すことが何より大事。年に2回は田んぼに住む生き物の調査もしながら、あらゆる生き物が気持ちよく暮らせる環境を守り続けているのです。
『朱鷺と暮らす郷』の流通を担うコープ佐渡 米穀センターの菊池センター長はこう言います。
「ありがたいことに、島外のスーパー等のバイヤーさんからは、新潟産のお米の中でも佐渡はひと味違って、とてもおいしいという評価をいただいています。これには新潟県本土よりも冬は暖かく夏は涼しいという海洋性気候が影響していると思います。本土に比べて穂が出てから収穫するまでの日数が1週間から10日多くなり、その分稲の実る期間も長い。じっくりと登熟してうまみと甘みが凝縮されるのです」。
現在『朱鷺と暮らす郷』は佐渡島内の小中学校の学校給食用のお米にも採用され、島の子どもたちが日々食べています。島民みんなでトキと共に暮らせる環境を守りながら、米農家の方々が丹精込めて作ったお米を島で暮らす子どもたちが食べて大きくなる――まさに地産地消の原点となっているお米なのです。
また、このお米を購入すると、売り上げの一部(1kgごと1円)が佐渡市トキ保護基金に寄付されます。おいしい佐渡産のコシヒカリをたくさん食べることが、そのまま佐渡の自然環境を守ることと、島の未来を守ることにもつながっています。